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数学bot (https://twitter.com/mathematics_bot) の解答を作ってみるブログ。 投稿されたオリジナル問題を中心に。各出題者ごとの問題採番はバルム氏のまとめ(http://balm.web.fc2.com/mathmatics.pdf)に準じています。
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pが素数の時√pは無理数となる事を証明せよ。(axjack_様)


まず、「自然数 n に対し、n^2 が素数 p の倍数ならば n も p の倍数である」を示す。
自然数の積 A×B が素数 p の倍数ならば、A と B の少なくとも片方が p の倍数である。
よって n×n が素数 p の倍数ならば、n と n の少なくとも片方が p の倍数である。
すなわち n^2 が p の倍数ならば n も p の倍数である。

√p が無理数であることを背理法を用いて証明する。

いま、√p が有理数であると仮定する。
すると互いに素なある自然数 a, b を用いて √p = a/b と書くことができる。
これを変形すると a^2 = pb^2

b^2 は自然数であるから a^2 は p の倍数であり、p は素数であるから、
先に示した命題により a も p の倍数である。

よって a はある自然数 c を用いて a = pc と書くことができる。
これを先の式の代入して整理すると b^2 = pc^2

c^2 は自然数であるから b^2 は p の倍数であり、p は素数であるから、
先に示した命題により b も p の倍数である。

したがって a と b は公約数 p を持つ。
これは a, b が互いに素であったことに矛盾する。

ゆえに √p は無理数である。



## という解答だけでは面白くないのでちょっと変わった証明を。
## ただマニアックにやってみただけですが。


まず、「自然数 n に対し、n^2 が素数 p の倍数ならば n も p の倍数である」を示す。

対偶「自然数 n に対し、n が素数 p の倍数でないならば n^2 も p の倍数でない」を証明する。

p≧3 のとき
p は素数なのでその約数は 1 と p 自身しか存在しない。
ゆえに n が p の倍数でないならば n と p の公約数は 1 以外に存在せず、
n と p は互いに素である。

フェルマーの小定理より n^(p-1) は p で割ると 1 余る数である。
ゆえに n^(p-1) は p を約数にもたない。
したがって n^(p-1) の約数である n^2 も p を約数に持たない。

p=2 のときは奇数の平方は奇数であることから成立。

よって対偶が示されたので「自然数 n に対し、n^2 が素数 p の倍数ならば n も p の倍数である」は成立。


√p が無理数であることを無限降下法を用いて証明する。

いま、ある自然数 a_0 を用いて、a_0 √p が自然数になったとする。
このとき、その自然数を N と書くことにする。
すなわち N^2 = p a_0^2

p, a_0 は自然数であるから N^2 は p の倍数であり、p は素数であるから、
先に示した命題により N も p の倍数である。

このとき、N = a_0 √p の両辺を √p で割って整理すると a_0 = (N/p) √p
N/p は自然数であるからこれを a_1 とおくと a_0 = a_1 √p となる。
明らかに √p > 1 なので a_1 < a_0 である。

いま、a_0 = a_1 √p で a_0 は自然数であった。
よって a_1 も √p にかけると自然数になるような自然数である。
ゆえに a_0 の場合と全く同じ議論が適用できて、
同一の手順で a_2 < a_1 をつくることができる。

この a_2 もやはり √p にかけると自然数になるような自然数であるから、
再び同じ議論を用いることができる。

以下無限に繰り返すと、有限な自然数 a_0 から狭義単調減少する無限自然数列 {a_n} を作ることができる。

しかし実際にはそんなものは存在するはずがないのだから、
これは条件を満たす初項 a_0 が存在しないということである。

よって a_0 √p が自然数になるような自然数 a_0 は存在せず、
√p は有理数でないこと、すなわち無理数であることが示された。
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