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数学bot (https://twitter.com/mathematics_bot) の解答を作ってみるブログ。 投稿されたオリジナル問題を中心に。各出題者ごとの問題採番はバルム氏のまとめ(http://balm.web.fc2.com/mathmatics.pdf)に準じています。
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平面上の正方形の内部に2点をランダムに取る。この2点を結ぶ直線が正方形と共有点を2点持つが、その2点のある辺が互いに対辺の関係にある確率を求めよ。ただし、以上の点や辺を決定できないようなパターンの存在確率は無視する。(tokoharu_sakura様)


両方の縦の辺と交わる確率を求めて 2 倍すればよい。

正方形の頂点を (0, 0), (1, 0), (1, 1), (0, 1) にとる。

対称性から、2 点の座標を (a, b) と (c, d) 0<c<a<1 および 0<d<b<1とする。
(a=c や b=d の場合は abcd 4次元空間内の超体積計算のときには無視できる)

これらを通る直線の式は y={(b-d)/(a-c)}x+(ad-bc)/(a-c)

これが両方の縦の辺と交わる必要十分条件は
0≦(ad-bc)/(a-c)≦1 かつ 0≦(b-d)/(a-c)+(ad-bc)/(a-c)≦1

すなわち
0≦ad-bc≦a-c かつ 0≦ad-bc+b-d≦a-c

b-d>0 より ad-bc<ad-bc+b-d なので、

0≦ad-bc かつ ad-bc+b-d≦a-c だけ考えればよい。

d に着目すると、d≧bc/a かつ d≧1-(1-c)(1-b)/(1-a) かつ 0<d<b
a>c のとき、1-(1-c)(1-b)/(1-a) - b = (1-b)(c-a)/(1-a) < 0
また明らかに bc/a<b なので、この領域は abc 3次元超平面の
0<c<a<1,0<b<1 なる範囲全域に存在する。

1-(1-c)(1-b)/(1-a) - bc/a = (b-a)(a-c)/a(1-a) よりこの領域の下限は
b<a のとき bc/a, b≧a のとき 1-(1-c)(1-b)/(1-a)

したがって、abcd 4 次元超空間内の条件を満たす部分の超体積は
V = ∫[a:0→1]∫[b:0→a]∫[c:0→a] (b-bc/a) dc db da
     + ∫[a:0→1]∫[b:a→1]∫[c:0→a] b-{1-(1-c)(1-b)/(1-a)} dc db da

1 つめの積分は
∫[a:0→1]∫[b:0→a]∫[c:0→a] (b-bc/a) dc db da
 = ∫[a:0→1] 1/a ∫[b:0→a] b db ∫[c:0→a] (a-c) dc da
 = ∫[a:0→1] 1/a 1/2 a^2 1/2 a^2 da
 = 1/4 ∫[a:0→1] a^3 da
 = 1/4×1/4
 = 1/16

2 つめの積分は
∫[a:0→1]∫[b:a→1]∫[c:0→a] b-{1-(1-c)(1-b)/(1-a)} dc db da
 = ∫[a:0→1]∫[b:a→1]∫[c:0→a] (1-b)(a-c)/(1-a) dc db da
 = ∫[a:0→1] 1/(1-a) ∫[b:a→1] (1-b) db ∫[c:0→a] (a-c) dc da
 = ∫[a:0→1] 1/(1-a) 1/2 (1-a)^2 1/2 a^2 da
 = 1/4 ∫[a:0→1] a^2(1-a) da
 = 1/4 (1/3 - 1/4)
 = 1/48

よって V = 1/16 + 1/48 = 1/12 である。

一方で 0<c<a<1 かつ 0<d<b<1 なる部分の超体積は 1/4 なので、
両方の縦の辺と交わる確率は 1/12÷1/4 = 1/3 である。

よって求める確率はこれを 2 倍して 2/3



おまけ:
互いに異なる辺上に無作為に 2 点取って結ぶ場合はもちろん条件を満たす確率は 1/3。
さて、「無作為に正方形と交わる直線を引いた場合に 2 交点が互いに対辺上にある確率」
としか書いていなかった場合は、2/3 と 1/3 のどちらが正しい?


答えは、どちらも正しい。
「無作為に直線を引く」という設定では、無作為を「どう無作為にするか」によって、
同じ条件を満たす確率を求めたときに異なる複数の計算結果が得られることがある。

このような現象を「ベルトランのパラドックス」という。
連続的なものから1つ取り出すような確率の問題を設定するときには
「無作為の選び方を作為的に選ぶ」余地がないようにしなければならない。
この問題では「内部に2点をランダムに取る」として「無作為の種類」を指定している。


「ベルトランのパラドックス」で最も有名な問題は(おそらく)以下。

「半径 1 の円に無作為に弦を引くとき、その長さが √3 より長い確率を求めよ」

解答1
弦が水平になるように見た時、中心から上下 1/2 の範囲にあれば弦は √3 より長い。
よって求める確率は 1/2

解答2
弦の片方の端点を基準に円周を 3 等分する。
半径 1 の円に内接する正三角形の辺長は √3 であるから、
もう片方の端点が向かいの 1/3 の中にあれば弦は √3 より長い。
よって求める確率は 1/3

解答3
弦の中点を考える。
中点と円の中心の距離が 1/2 以下、
つまり中点が半径 1/2 の円の内部にあれば弦は √3 より長い。
よって求める確率は π/4÷π = 1/4

もちろんこれらは「何をもって無作為とするか」の違いによる結果の違いであって、どれも正しい解答である。
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